相互作用の銀河
Arp 273
2011.04_20
 アンドロメダ座の方向約3億光年先にある「Arp 273」は,大・中・小の3つの銀河がお互いに重力で影響を及ぼし合って形状が変化しているという非常にユニークな天体である。
 大銀河「UGC 1810」(画像上部)と,それを通り抜けたもう1つのやや小さい銀河「UGC 1813」(画像下部)をとらえたものだ。UGC 1810の腕はUGC 1813の重力に引っぱられてゆがみ,バラを思わせる形状に変化している。一番外側の腕が広がらずに大きな環になっているのは,銀河中心から少し外れたところをUGC 1813がすり抜けたためにできたものと思われる。
 UGC 1813の銀河中心核は明るく輝いており,銀河同士の相互作用によって爆発的に星生成が引き起こされたと考えられる。
 この2つの銀河は,大きいほうが小さいほうの約5倍の質量がある。このような差がある場合,小銀河の通過が比較的速く,大銀河に残る痕はバランスの悪い非対称な構造となる。また,小銀河での爆発的星生成が大銀河より先に開始されることが多い。小銀河が星の材料となる中心核のガスをあまり消費していないからと考えられる。
 3つめの一番小さい銀河は ,UGC 1810の右部分,腕の先につかまるように小さく光っている。年老いた星が放つ赤い光で染まるUGC 1810の腕が,この小銀河を境にして若い星が放つ青い光の塊に変わっている。このように規則正しく並んだ青い光の斑点は他の銀河にも見られるもので,腕の中のガスが活発化して星が多く生まれている場所である。
 
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